庄村 康人（化学・生命コース）

タイトル

Structural basis of the redox switches in the NAD+-reducing soluble [NiFe]-hydrogenase

著者名

"Shomura Y, Taketa M, Nakashima H, Tai H, Nakagawa H, Ikeda Y, Ishii M, Igarashi Y, Nishihara H, Yoon KS, Ogo S, Hirota S, Higuchi Y."

雑誌名

Science

DOI

10.1126/science.aan4497

研究概要

NAD+還元[NiFe]ヒドロゲナーゼは、主に好気性細菌がもつ多酵素複合体で、水素の分解・合成反応と共役したNADの還元・酸化反応を触媒する。本酵素は呼吸鎖複合体Iの可溶性部位と共通の祖先をもつが、そのサブユニットや鉄硫黄クラスターの配向は不明であった。今回、我々は、同酵素と複合体Iとの分子進化の関係およびNi–Fe活性部位の構造的特徴と酸素に対する安定性との関係を明らかにすることを目的とし、水素酸化細菌由来NAD+還元[NiFe]ヒドロゲナーゼ複合体の結晶構造を決定した。

その結果、ヒドロゲナーゼユニットと複合体Iの相同ユニットは進化的に分岐した後、独立にNAD酸化還元ユニットを獲得し、それぞれの複合体へと進化したことが示唆された。また、酸化型と還元型の構造の比較により、本酵素の酸素に対する防御や活性酸素種の生成の抑制に、特定の鉄硫黄クラスターの酸化数の変化が引き金となるレドックススイッチ機構が関与していることを見出した。